INVESTOR RELATIONS 事業等のリスク

 当社グループは、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるあらゆるリスクを的確に把握し、経営への影響を低減していくために、取締役会の諮問機関としてグループリスク管理委員会を設置しています。想定される各リスクを3つの主要リスク(経営・財務リスク、人事・労務・社会全般リスク、事業部門リスク)に分類、小委員会を新設し、リスクの洗い出しと対策の立案を行ったうえで、グループリスク管理委員会がその内容について議論、検証を行っています。
 特に当社グループの事業業績、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月21日)現在において当社グループが判断したものです。

1. 新型コロナウイルス感染症について

 依然世界的な流行が見られることや、変異型ウイルスの登場により、国内においても一部の地域で緊急事態宣言が発令されるなど、感染被害は継続しています。今後もこうした感染状況が長期化する場合には、顧客における情報システムの投資計画の延期や縮小、また市場全体の投資欲の減退による新規顧客や新規案件の獲得が予定通りに進まないなど、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループではコロナ禍に対する緊急事態宣言対応を策定し、社員に周知、テレワークの推進、手洗い、マスク着用、消毒、換気、検温等の徹底を図るとともに、状況に応じて集合会議・研修、出張、外出を制限してきました。更に新型コロナウイルスとの共存を見据えた柔軟で効率的な働き方を推進するためのニューノーマル適応プロジェクトを社内改革プロジェクトとして立ち上げ、フリーアドレスオフィス「THE Forest Room」の新設をはじめとした本社内のフリーアドレスオフィス化の推進、山陰事業部への本社管理業務の一部移管等に取り組んできました。テレワーク用のパソコンの支給や通信環境を整備するとともに、業務品質を維持すべく、テレワーク勤務規程やテレワークセキュリティガイドラインを整備しています。
 また、顧客企業に対しては、システム投資計画の見直しやプロジェクト状況等のヒアリングを定期的に実施することにくわえ、従来からの顧客先常駐型の対面型のサービスから、リモートツールを活用した非対面でのサービスへのシフトにも取り組んでいます。

2. 特定の取引先への依存について

 みずほフィナンシャルグループの当社グループにおける売上比率は、みずほグループのシステム運用業務が日本アイ・ビー・エム株式会社(出資比率65%)との合弁会社に移管されたことも影響し、当連結会計年度15.8%と前年度より減少しました。しかしながら、同グループへの売上高比率は依然高い状況であり、同グループとの受託業務について変動が生じた場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループは、みずほフィナンシャルグループ傘下の企業と長期にわたり安定的な取引関係を築いており、今後も引き続き同グループとの取引関係を維持・拡大していく方針です。くわえて、同グループ関連企業や日本アイ・ビー・エム株式会社の関連企業への営業活動を強化するとともに、M&Aや業務提携等による新たな顧客の獲得に向けても取り組んでまいります。

3. 市場環境の変化について

 近年、情報サービス業界において、RPA・AIなどのデジタル技術を活用した既存ビジネスの変革、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)の急速な進展や、システムの「所有」から「利用」への転換、IoT機器の急激な増加、高度化するサイバー攻撃など、ITをとりまく顧客ニーズが多様化し、経営環境が大きく変動しています。当社グループが提供するサービスが陳腐化し、競合他社に対する競争力の低下を招いた場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループでは、社会の変革をもたらす先端技術の知見を深め、ビジネスに活かしていくことを目的として先端技術部が研究開発活動を推進しています。
 また、グループ内のシステム運用分野におけるコンサルティング業務を集約した株式会社DXコンサルティングにおいて、業務改革や自動化等の市場競争力の高いサービスを推進するほか、モバイルアプリケーション開発分野に強みを持つ事業会社を買収するなど新技術領域の拡充を図りました。
 くわえて、顧客のクラウド化ニーズに対して柔軟に対応すべく、2020年11月には山陰にてIDクラウドマネージドセンターを設立し、マルチクラウドに対応した導入サービスおよびリモート運用サービスを開始しました。
 このような施策により、当社グループは、長年蓄積してきた顧客システムに関する業務知識やノウハウをもとに、既存のサービスソリューションにアドバンスト・テクノロジーを組み合わせることにより、顧客ニーズにあった付加価値の高いサービスの提供に努め、市場環境変化に対応しています。

4. 企業買収リスクについて

 当社グループは、M&Aによる事業の拡大を経営戦略のひとつとしています。しかしながら、市場環境の変化や不測の事態により、事業が計画どおりに進まない場合や、当初予定していた効果を得ることができない場合に、のれんの減損処理や関係会社株式の評価損を行う必要が生じる等、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループは、それらを実施する場合には、対象企業の財務や税務、法務等について会計士や弁護士等の専門家によるデューディリジェンスを行うことにより、事前にリスクを回避するように努めています。また、実施後は出資先の取締役会等への陪席、又は決算資料等の精査により、経営状況を定期的にモニタリングし、当社グループの経営成績および財政状態への影響の把握に努めています。

5. グローバル事業に関するリスク

 当社グループは、事業戦略の一環として、中国、シンガポール、ミャンマー、米国、ヨーロッパを中心にグローバル事業を推進しています。しかしながら、グローバル経済や為替などの経済動向、取引をめぐる法規制、商習慣の違い、政治的・社会的変動等のさまざまな要因が、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 各海外拠点の経営状況や外部環境の変化等については、グローバル推進部ならびにコーポレート戦略部が中心となって適宜把握するとともに、個別のリスク事象についてはグループリスク管理委員会において内容の把握や状況確認、対策の進捗確認や効果検証を行い、リスク低減に取り組みます。
 なお、ミャンマーにおいて発生したクーデターに関しては、現地子会社と本部関係部は緊密な連携をとり、社員の安全を最優先としたうえでリモートワークへ切り替え、事業を継続しており、業績に与える影響も軽微です。

6. 人材確保のリスクについて

 最新のDX技術への対応、顧客満足度の向上には、優秀な人材の確保と育成は重要な課題です。しかしながら、人材の確保・育成ができない場合、また、事業変革にともなうニーズにあった人材の補充ができない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループは、国内・海外で新卒及び中途採用により付加価値の高い人材確保に努めており、入社後は計画的ローテーションとトレーニングにより、アドバンスト・テクノロジーエンジニアへの育成・推進を図っています。また、顧客ニーズの変化へ対応するため、人材のスキルチェンジを進めるとともに、新規ビジネスを模索してまいります。

7. 情報管理について

 当社グループは、常に情報セキュリティの維持・向上を図り、お客さまに満足いただけるサービスを提供してまいりますが、万が一、不正アクセスや重大なエラー等により、お客さまや取引に関する情報の紛失、改ざん、漏えい等を発生させた場合には、当社グループの信用は失墜し、経営成績および財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、個人情報をはじめとする情報資産を適切に取り扱うため「情報管理基本方針」、「プライバシーポリシー」など各種規程を整備しており、2018年5月に施行されたEU一般データ保護規則(GDPR)にも対応済です。
 また、情報管理全般について組織横断的に協議を行う情報管理委員会を設置し、情報管理体制強化に努めています。くわえて、法令やガイドライン改定に応じ規定見直しを行うとともに、定期的な教育によりコンプライアンス意識のさらなる向上に努めています。さらに、PマークおよびISO27001の認証を取得し、維持・継続しています。
 なお、テレワークにともなう情報漏洩リスク等に対しては2020年4月に「テレワークセキュリティガイドライン」を策定し、全社員を対象とした勉強会において、内容の周知徹底を図りました。

8. 自然災害・テロ・感染症等について

 地震・台風・洪水といった大規模な自然災害に関連するリスクは年々高まっており、くわえて世界各地で発生するテロや感染症等による被害は完全に回避できるものではなく、想定規模を超える被害発生時には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループは、地震・洪水等の大規模災害、テロ等の犯罪行為、感染症の流行等の業務遂行が阻害されるような場合であっても、その影響を最小限に抑えるべく、危機管理マニュアルおよび業務継続計画(BCP)を制定しています。
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、テレワーク勤務は大幅に浸透しており、山陰事業部に本社業務の一部移管を行い、一極集中リスク低減を図りました。
 また、食料・衛生用品の備蓄、各種マニュアルの見直しとともに安否確認システムを活用した定期的訓練を実施しています。

9. ESGについて

 企業の非財務情報に関わる活動が企業の持続可能性や中長期的な企業価値に多大なる影響を与えることから、ESGやSDGsに関する取組みに注目が集まっています。
 当社グループでは、ESG推進部を中心として、働き方改革や健康経営に向けた取組みを推進し、健康経営優良法人ホワイト500の認定を2年連続獲得しました。
 また、2021年にサステナビリティ委員会を設置し、本社における環境マネジメントシステム(EMS)ISO14001 の認証取得に向け取組みを行っています。
 当社グループは、国内外各拠点による環境ボランティア活動等による地域貢献、グループ各社への社員教育強化により、グループ一体となった活動を実践し、顧客および投資家からの評価向上と、当社グループの持続的成長へ繋げてまいります。

10. ソフトウェア開発および基盤環境構築業務遂行上のリスクについて

 当社グループにおけるソフトウェア開発および基盤環境構築の売上比率は、当連結会計年度42.5%を占めています。高度化、複雑化、短納期化する当業務においては、開発途中での要件変更、品質の低下、納期遅延などの問題が発生するリスクがあります。
 当社グループでは、これらのリスクをヘッジするために、ISO9001に準拠した品質マネジメントシステムを導入しています。新規大型案件の引合いを受けた際には受注検討会を開催し、取引方針、採算性、要員体制、技術対応力、技術蓄積の可能性等について経営的判断に基づく検討を行い、品質管理部門による各プロジェクトの提案、見積段階から納品に至るまでのプロセスを通したリスク分析・管理を実施し、プロジェクト遂行中のQCD(品質、コスト、納期)状況を定期的にレビューし、異常を検知・予測して早期に対策を講じて不採算案件の発生防止に努めています。
 このような取組みにもかかわらず、計画通りの品質を確保できない場合や、開発期間内に完了しない場合には、プロジェクト完遂のための追加費用発生や損害賠償責任によって採算が悪化し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、昨年度におけるプロジェクトの不採算案件は0件でありその影響は軽微です。
 さらなるプロジェクト管理強化の対策として、昨年度より組織の変更を行い、従来一括開発を行っていた組織を集約、グローバル・イノベーションセンター(GIC)を設置しました。更に、プロジェクトディレクターを新たに任命し、プロジェクトの統括管理を行う体制を構築しました。この新組織により、一括受託型プロジェクトの管理強化、ならびに柔軟かつ適正な人員配置を行えるようにしています。

11. システム運営管理業務遂行上のリスクについて

 当社グループにおけるシステム運営管理の売上比率は当連結会計年度46.8%を占めています。システム運営管理業務において、誤操作等によるシステム障害や情報提供の遅延等を発生させる可能性は、皆無ではありません。大規模なシステム障害等を発生させた場合、損害賠償責任が発生し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループでは、このような障害を未然に防止するため、「影響度の高い業務は再鑑体制を徹底」、「ツールによる自動化を推進」等を実施しています。また、品質管理部門を設け、「障害の未然防止研修」「障害要因分析・フィードバック」「現場立ち入り検査」等を企画実施しています。さらにISO9001認証を取得し、品質向上に向けた継続的改善を図っており、昨年度も大規模なシステム障害は発生していません。
 更に、当社グループのコアビジネスであるシステム運営管理業務は、デジタルトランスフォーメーション(DX)が推進され、既存システムに対する保守費の削減、自動化、パブリッククラウドの利用、主要顧客に次世代システムへの移行やセンター集約も進み、大きな転換期を迎えており、従来の単純なオペレーション業務に限れば、規模が縮小する可能性があります。
 当社グループとして、システム運営業務の将来性を鑑みた業務の付加価値を高めるオペレーションの自動化等のDX施策を推進するとともに、要員のスキルチェンジによる他部門へのシフトも進めています。
 また、顧客のクラウド化ニーズに対して柔軟に対応すべく、2020年11月には山陰にてIDクラウドマネージドセンターを設立し、マルチクラウドによるリモート運用サービスを開始しました。

12. パートナー会社からの要員調達について

 当社グループは、案件ニーズにマッチした人材の調達、および受注量増減に対して機動的に対応するため、パートナー会社からの要員調達についても積極的に進めています。しかしながら、市場の変化により計画を大きく超える受注量の増減が急激に起きた場合には要員調達の不調、または、要員リリースがタイムリーに行えないことによって、当社グループの経営成績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループは、パートナー会社に対し定期的にパートナー会や勉強会を実施することにより、事業方針や案件情報、トラブル事例共有等の情報交換を密にし、コアパートナー会社との協力関係を更に深め、一括案件受注体力があり品質管理が期待できる協業体制を構築し、品質の向上と要員の調達力向上に努めています。